自分の力で最期まで生き切る力があるということを
私たちはこの7年間の500名の看取りから学びました。
高齢になること、障害を抱えること、そして残された命が短い時に人は大きな苦しみを抱えます。この苦しみは、自分が描く自分の姿や自分の未来、自分の価値という主観的な思いと、現実として、客観的事実として存在する手足の不自由、痛みの間の隔たりによりもたらされると言われています。
これまで、医療はこの客観的な現実を改善することをめざし進歩してきています。しかし、残念ながら加齢を止めることはできません、完治できない障害もあります、そして永遠の命もありません。
高齢となること、障害を持つこと、末期であることは、いづれすべての人が必ず通る道です。この道を価値ある道とすること、そしてすべての人には、自分の力で最期まで生き切る力があるということを私たちはこの7年間の500名の看取りから学びました。
訪問看護は、臨床看護の出前ではありません。病院と同じ医療が家で行える安心を担保するものでもありません。訪問看護は、その人らしさを支える、人の人生に対する支援と考えています。地域包括ケア、地域医療介護を構築する要として訪問看護師は期待されています。そこで、私たち楓の風は、従来の臨床看護力に加え、訪問看護師の力「5つのC」を育み、発揮していくことを毎日の活動の中で実践し成長しています。
私たちは、在宅ホスピスケアのIPW ( Interprofessional work ) において、ここに参加するクライアント、家族そしてすべての専門職は、医療情報の伝達に留まらない「7つの共有」を実践しています。
※ナラティブについては、直訳すると「物語」という意味です。
利用者様は、今は介護を必要としていても、それぞれ人生を生き抜いてきて、主役として光り輝いていた時期があります。再び主体性を持って輝いていただくためにも、その人の人生の物語を話してもらうことで、相互理解を深めることが重要になるのです。