Concept
思い描く看護が
実現します。
楓の風は人生の最期まで自分の居場所で
自分らしく生き抜く皆様を応援する医療介護の専門職集団です。
楓の風は人生最期の時まで自分らしく自分の居場所で生き抜くことを望まれる全ての利用者様をお支えするべく、通所介護、訪問看護、訪問診療の3つのサービスを提供する医療介護の専門職集団です。楓の風の通所介護事業は人生の残された時間を身体機能の回復に偏重せず、ICFに基づく「活動と参の促進」について、ナラティブ・アプローチをベースに展開する社会的自立支援ケアを提供し、国内外からの高い評価を受けている最先端の自立支援ケアを実践しています。見渡せば「自立支援」という言葉がブームとなり、身体機能の機能訓練を提供する事業所が急増、自治体においてもADLや介護度の回復に報奨金を出す事業も多数出現しています。そのような中、高齢者が望まない訓練を強いる事例や、一見楽しく運動に参加していても、本人が目標もわからずに参加し、主体性なく訓練に取り組んでいるような事例が多数明らかになっています。楓の風では「歩けるようになったら」「筋力が回復してから」などと身体機能の回復を前提とせず、「社会的自立支援アウトカムスケールSIOS」を活用したアセスメントを通じ「家族に迷惑をかけているから早く死にたい」などの抑圧された負い目引け目などの想いに寄り添いながら、家庭内や地域における役割の獲得や維持、社会参加の促進を通じ、ご本人が主体性をもって暮らせるように支援活動を行っています。
そして本ホームページの主体である楓の風の在宅ホスピス事業は訪問看護と訪問診療の2つの柱で24時間365日活動しています。1時間ほどの訪問時間は在宅ホスピスケアを受ける患者様やご家族にとっては残された大切な時間であると考えています。そのため私たちはできる限り少ない時間で最大限の安心を提供することを心掛けるため、「いかない看護」をスローガンに過剰な看護サービスは提供せず、そのかわり24時間365日緊急時はいつでも駆けつけられるよう90%以上を常勤職員で構成する体制を整えています。訪問診療においても同様です。患者様の大切な時間への最大限の配慮した適切な医療・看護サービスの提供と安心の24時間体制の確立こそが在宅ホスピスケアの重要な要素であると考えています。 近年「通所介護」「訪問看護」「訪問診療」は事業モデルとしても大変注目され、一気に数が増えてまいりました。楽しさ、明るさ、安心をうたう事業所は数多くありますが、患者様の残された貴重な時間への配慮とその価値の向上への追及を行う事業所は多くは存在しません。2001年の創業以来患者価値への思慮を深めることに一貫してきた在宅療養支援楓の風グループで、あなたの専門性をより優れたものへと開花してください。仲間になれる日を心より楽しみにしております。
志を共有する500人の看護師と共に、
5000人にホスピスケアを届けます。
訪問看護ステーションを含め、在宅療養を支えるサービスは、質・量共に拡充し、療養の場所として在宅を選択される方が増加しています。しかしそれでも、家で療養し、家で最期を迎えるのは不可能と思っている方々も未だに多く、在宅看取り割合は、2005年に12.2%の最低値となり、その後15年を経てやっと13%到達という、僅かな変化しかありません。医療機関や施設にご勤務される皆様が日々目にしているように「家に帰りたい」と言いながら、病院、施設のベッドで過ごされている患者様が、たくさんいらっしゃるという事です。楓の風の看護師は、この現実に対して、家で最期を過ごす「在宅ホスピスケア」に取り組み、開業から12年2000名を超える方々の最期を並走し、現在年間400名の方の在宅での最期を支援しております。看護協会の調査(平成20年)では、『看護師7名以上のステーションで、年間看取り数が20人を超えるステーションは約1割である』と示していますので、楓の風の看取り数は群を抜いた実績といえます。私たちのこの実績は、ご本人、御家族に真摯に向き合い「話を伺い、お気持ちを伺う」事から始まり、そこでの気づきから、看護師のケアを考え、創造し、実践し、さらにその実践を通して、また気づき、考え‥というプロセスから生まれています。すべての出発点はご利用者自身の姿や、ご利用者自身の言葉です。ご利用者の姿から、言葉から「死」は誰の人生にも、その最後に必ず訪れる『正常』な変化である事、人生の終焉という人生にとっての大切な時である事に改めて気づき、どんな病状であれ、人は可能な限り自立して生きたいと願っている事を学びました。
私たちは、このような気づき、学びから検討を繰り返し、看護師がすべきことは「支援」の前に、まず彼らの持つ「自立」したい思いや「自律」を「尊重」する事であることに至りました。その上で行う「支援」とは、看護師がケアを行う事ではなく、ご本人ご家族の力で行えるようにする事であると考えました。楓の風の在宅看取りの実績は、ご自身として、御家族として自立していたいという気持ちを支援することにより、生まれた結果です。しかしながら「自律支援、自立支援」は決して新しいことではなく、基礎教育で学んだ「看護の本質」であり、「ケアの本質」です、この看護の本質を展開できるのが訪問看護という事になります。看護師達は、医療の知識、技術、経験を活かし、限られた大切な時間を苦痛や急変により、その大切な時間が失われないようにし、ご利用者やご家族が心身共に良いコンディションで価値ある時を過ごせるようにケアを行い、病気や障害、時に末期であっても、ご自身、御家族で自立してくらせるようハード、ソフトの環境を整え、それぞれの持つ力を活かし、発揮しながらくらせるよう支援しています。この看護師のケアが、結果として、最期まで家で生きる力となり、在宅看取りという数字を生み出しているといえます。
チームが目指すもの
文化をつくる
家で最期を迎える文化、思想の普及促進を目指して活動します。
人を育てる
在宅ホスピスナースの採用、育成活動に力を入れています。
志を広げる
志を同じくする訪問看護ステーションの開業支援・運営支援などによって拡大していきます。
やりたい看護が実現する
私たち楓の風では専門看護師や認定看護師の積極的な採用を行っています。専門資格保持者は非資格保持者よりも高い資格手当が支給され、通常の訪問看護活動と共に、社内看護師への教育指導の役を担います。なぜこのように力を入れるのか、私たちホスピス従事者の母(近代ホスピスの母)、シシリー・ソンダース先生の言葉を引用して説明しましょう。「もし私ががんの末期になって強い痛みのために入院した時、私がまず望むのは牧師が早く痛みが取れるように祈ってくれることでも、経験深い精神科医が私の悩みに耳を傾けてくれることでもなく、私の痛みの原因をしっかりと診断し、痛みを軽減する薬剤の種類・量・投与間隔・投与法を判断し、それを直ちに実行してくれる医師が来てくれることです。」適切な知識をしっかり持ち、社内で相互に教育、補完する体制があるからこそ、胸を張って在宅ホスピス活動を行う事ができるのです。そのため楓の風では専門資格保持者が多く集まり、専門資格を持たないナースにも社内で緩和医療学会のELNEC-J講座が開かれるなど、専門知識の取得の機会が充実しています。在宅療養支援ステーション楓の風は、看護師という専門職が自身の持つ力を十分に発揮できることを大切にしています。そのため、規則やマニュアルで管理するのではなく、それぞれの看護師の考えを尊重する人材育成と職場風土の醸成に努めると共に、適切なホスピスケアの知識を身に付け、柔軟な思考とのびやかな発想により、あなたが思い描く看護が実現します。
「行かない看護」とは
末期のご利用者が多く、看取りが多いと、訪問回数が多いのでは、と思われるかと思いますが、楓の風のご利用者様の平均利用回数は5.2回です。この数字は、どちらかと言えば、少ない方ではないでしょうか。楓の風では、数年前から「行かない看護」を推進しています。「行かない看護」とは、「週3回の訪問が本当に必要か、2回で良いのではないか」「90分の訪問が本当に必要か、60分で良いのではないか」と考えることです。市民を対象の調査では「日本人が共通して重要だと考える望ましい死に方」を、苦痛がない事、望む場所で過ごすこと等に加え、自立している事」「他者の負担にならない事」「人として尊重されている事」が挙げられています。人は、死を前にしても、自律、自立していたいと望んでいるという事です。改めて、これまでのご利用様のご様子を見ると、彼らが自分で、自分たちで何とかしたいと望まれていながらも、不安や不快な症状があるから、看護師に頼らざるを得ないと思っている事に気づきます。自立していたいという思いの中では、看護師に頼る事は不本意であり、不自由と思われるかもしれません。家で自分の望む暮らしをしたいのに、たびたび看護師が来ては血圧を測ったり、清拭したりこれじゃ病院みたいだ、と感じているのではないかと思えました。頻回な訪問は、実は看護師側のニーズのように思えます。何も頻回に訪問しなくとも、看護師が暮らしと病状を適切にアセスメントし、御家族に予測される今後の変化をわかりやすく説明し、対応を準備しご指導すれば、ご家族で対応が出来ます。その上で、看護師は、何かあればいつでも必ず力になるという、24時間365日の確実な訪問体制での安心、安全の役割をしっかり担う事であると考えました。これが楓の風の考える「行かない看護」です。
「行かない看護」のために
病院を退院し、在宅療養を開始する時期は、ご自宅での暮らし方やケア方法に慣れて頂くため、病院の24時間医療者が傍にいる環境とのギャップを埋めるために、ご希望があれば複数回の訪問を行います。しかし、導入後1,2週経過後は、訪問回数は徐々に減らします。ご本人、御家族から「回数を減らしてほしい」と言われたら、それは自立が促進されたことであり、まさに看護師の力と考えています。この自立、自律の促進のために、看護師は様々なケアを提供します。ご自身、御家族でやれている事は、たとえ100点満点でなくとも、60点でも奪わず、看護師が行って100点より、自分でやる60点に価値があると考え、またご自身、御家族でできる事を増やし、ご自身、御家族で、できない事はやらずに済む方法を考えます。十分なアセスメント力を持ち、症状変化を予測し、対応を準備する事でご本人、御家族自身で行えることを増やすことが出来ます。本人ご家族へは、末期なので「もう何もできない」ではなく「家族が傍にいる、家にいるという最高のケアが出来ている」事を伝えること、「衰えていくことや死が人にとって「正常」であることを繰り返しお伝えすること、24時間365日の緊急コールに対しては、病状に対してではなく、ご本人、御家族の不安や悲嘆に対して何が出来るかを考え、必ず訪問する事を徹底しています。そして、どのプロセスにおいても、看護師1人の考えやアセスメントには限界がありますので、日々のカンファレンスで多様な意見を出し合い、検討する事を大切にしています。このカンファレンス参加が、自身のケアの保障になり、各看護師の知識、技術、思考を広げ、看護師としての力を向上させ、引き出しを増やす成長の機会となります。