Blog
訪問看護ブログ
訪問看護師の働き方改革
訪問看護ステーションは年々増え続ける利用者(要介護、要支援認定者や病院からの退院患者)に伴って、現在約13,000事業所が日本には存在します。
厚生労働省の算出では2025年に訪問看護師は11万8千人必要とされており、まだまだその数には届きませんが、訪問看護を働く場とする看護師は少しづつ増えてきています。 しかし、ステーションの数が増えることで、どこを働く場所として選んでよいのか分からなくなるケースも多く、人材紹介会社の紹介で転職するものの、「こんなはずでは無かった」と後悔する訪問看護師も多くなっています。
楓の風は15年訪問看護ステーションを運営していますが、入社してきてくれた看護師に後悔してもらわないよう「働きやすい環境の提供」を試行錯誤して取り組んできました。 今回はその取り組みを2つご紹介します。
面接時と入社時のギャップを無くす
訪問看護の求人倍率は病院やクリニック、介護施設よりも高く2.91倍です。
その為、自分たちの事業所に入社させようと良いところばかり強調し、入社したら全然話が違うという事も多くあります。 楓の風ではそのギャップを無くすために、2つの事に注意しています
1つ目は会社説明をしっかり行う事です。 自社の理念から概要はもちろん、どんな業務を応募者に期待しているのか、逆にどのようなサポートを実施しているのかを30分以上かけてしっかりと説明します。 2つ目は労働条件と給与面の詳細な提示です。 給与規定等を手元に準備して、生活設計の源である待遇はリアルに応えられるように、大体32万円くらいなどとは言わず、31,500円ですと、手当の詳細と共にしっかりお伝えします。 お休みは何日あるのか、どうやって取得できるのかなど労働条件もしっかりと事実を伝えることで入社時のギャップを無くしています。
訪問業務の不安を軽減する教育研修制度
訪問看護に転職される看護師の多くは訪問看護未経験、又は経験が短いのが実状です。 しかし訪問看護ステーションのほとんどは小さい会社が運営しているので、教育プログラムが充実していません。 新入社の看護師はOJTと呼ばれる先輩看護師に同行訪問して看護を覚えてもらう方法が主流となります。 教えることが上手な先輩であれば問題はありませんが、教え方が下手だったり、高圧的な先輩であれば入社した看護師さんはすぐに不安になってしまいます。
楓の風では毎月必ず入社時研修を用意しています。 訪問看護経験が豊富な専門看護師、認定看護師が講師となって5日間の研修をしっかりと行い、接遇からケアの基礎まで基礎知識を身に着けてから各配属先の事業所でOJTを受けてもらいます。 また入社時研修後も1か月、3か月、6か月、1年と3か月ごとにフォローアップ研修を行い、その時に看護師の抱えている悩みや課題を出し合い、お互い意見を言って解決していきます。
給与はオンコール担当に手厚く、水準以上を支払う
訪問看護はとても魅力のある仕事ではありますが、大変な仕事です。 訪問は1日4件~6件ほど。 楓の風は在宅看取りに特化しているので、オンコールや、夜間や緊急訪問もあります。 オンコールや夜間の緊急訪問が出来る看護師と出来ない看護師とでは負担に大きな差が出ます。 そこに不公平感が出ないよう、給与設定のバランスを考えることが大切だと考えています。 オンコール担当が出来る看護師には固定給に手当を出し、またオンコール担当の日数、緊急訪問の回数によって更に手当を上乗せしています。
またお看取りや難病など難しい看護を実施している分、訪問看護診療報酬に加算が付くので、売上も上がり、結果頑張っている看護師に賞与として還元することが出来ます。 ですので、給与は訪問看護師の平均給与よりも高い、年収500万円~700万円を支払うことが出来ます。
看護師一人に1台社用車を貸与
訪問車両を専用に一人一台準備し、訪問看護ステーションに駐車場があるのはもちろんですが、看護師の自宅近くに駐車場を借り上げ、通勤も夜間のオンコール出動も迷わず社用車で出かけられるように、体制を整えています。 それによって例えば、夜中の2時に呼ばれた時でも自宅で待機している看護師が社用車ですぐに駆け付けることが出来ます。
まだ多くの訪問看護ステーションは自家用車やタクシー(ご利用者負担)が主流です。 自家用車で駆けつけるという事は、その訪問途中に事故に遭ってしまったら、その事故は自家用車が加入する任意保険等を使って自己責任で対処する事になります。万が一けがをした場合は通勤途中なので労災は適用されますが、対人対物への賠償責任は自己責任となってしまうのです。 もちろん夜間ではなく昼間も同様で、社用車であれば、会社が共に事故処理を行いますし、一人で対処する不安や、相手への賠償で大きなストレスを抱えることも軽減されます。
また夜中にタクシーで駆けつける場合も、行きはタクシーの迎えが来てから玄関を出れば良いですが、ご利用者宅で看護活動を終えてからタクシーを呼んでも、そう簡単に夜中のタクシーはつかまりません。 最悪数十分を路上で車を待つこともあり、女性の場合、身の危険を感じる場合もあります。 そのようなリスクも排除して行くことが、転職を後悔させない環境づくりの一環になると考えています。